怠惰な生活を送る青年の日記

社会の片隅でひっそり生活しています。

スマホ脳

この本は大変売れているそうで、図書館でも予約待ちの状況が続いているみたい。タイトルからして世間の人が思わず手に取ってみたくなるような内容だからベストセラー本になるのは何となく理解できる。

スマートフォンは社会に大きなインパクトをもたらした。これほど人々に利用されているものは他になく、今や社会になくてはならないものである。スマートフォンを通してできることはとても多い。メールや電話はもちろんのこと、ウェブの閲覧や音楽を聞くこと、SNSで人と繋がること等、これさえあれば何でもできる。

そうした中、現代を生きる人たちはスマートフォンを手放すことがとても難しくなっている。一言でいうと、依存状態に陥っているのだが、これほど人間の生活に浸透した今、スマートフォンのない生活など想像することもできない。

自分は「スマホ命」という考えの人間ではなく、もし明日スマホがなくなっても普通に生活していける自信はとてもあるのだが、大半の人はそうではないのだろうということは周りを見てもよく理解できる。ビジネス上での付き合いでも、プライベート上での付き合いでも、スマホの存在がなくてはならない場面はとても多い。そのため、容易にこれと距離を置いて生活することは難しい。

人間の脳は進化に適応していない、人間はスマートフォンをバリバリと使いこなせるような脳ではないと筆者は何度も主張するが、だったらこんなものを世に生み出すなよと思う。このことに関してはIT企業の社長であるスティーブ・ジョブズやビルゲイツなども実感していて、こうしたものを生み出しておきながら彼らはスマホやSNSの存在を危惧して、スマホと距離置いて生活しているとは何とも滑稽な話である。

本書ではスマートフォンの負の側面ばかりに焦点が向いているが、スマートフォンは一概に悪なものであるといえるわけでもない。人に言えない問題を抱えている人やリアルの場では簡単に打ち明けられない悩みをを抱えている人にとっては、自分と同じ問題を抱える人達たち繋がりを持つことができるという側面もある。リアルだけでは窮屈な世界でも、スマホを通して居場所を作ることもできるのだから、それは完全に悪いものだと断言することはできないだろう。しかし、日常を害するまで使用するのは問題で、程々に使用するのが望ましい。

気になった箇所

今あなたが手にしている本は人間の脳はデジタル社会に適応していないという内容だ。
(スマホ脳 p.7) 

どれだけ社会や人類が進歩しても、古代から人間の脳のつくりは変わってないという。

睡眠、運動、そして他者との関わりが、精神的な不調から身を守る三つの重要な要素だ。それは研究でもはっきり示されている。それらが減ると、調子が悪くなる。守ってくれる要素がなくなるからだ。 (スマホ脳 p.10)

自分としては人と関わりを持つ状態の方が、精神状態がとても悪くなる。ネガティブな感情に苛まされてどうにもならなくなる。こうした感情に襲われていることそのものが、自分にとって人間と関わることは良くないことであるという証左である。人間嫌いというわけではなく、肌感覚で人と交流することそのものが受け付けない。
でも、人間は社会的動物であるから、他者との関わりによって精神状態が良くなる、満たされる人の方が圧倒的に多く、そしてそれが正しい。

当ブログの文章や画像を無断で転載することは厳禁です。もしそうした行為を働く者がいた場合、然るべき法的措置を取らせていただきます。