怠惰な生活を送る青年の日記

社会の片隅でひっそり生活しています。

記憶の一片

バットとグローブを持って公園へ駆け出す。青空の下で高く舞い上がるボールを追いながらグラブをボール落下位置にめがけて差し出す。クラブにボールがおさまったとき、周囲にドッと笑いが起こる。そんなとき自分は外の世界と繋がっているのだということを痛いほど思い込ませてくれました。そこにはいつも人がいた。人々の歓喜や熱狂、興奮もそこにはあった。だから、自分も外の世界のただ中にいて、人間と共に生きているのだという感覚が強くあった。

それも振り返ってみればそうであったと気づいただけのことであって、当時はそのことをとりわけ意識していたわけではない。というより意識していないからこそ人生に没頭し、人と触れ合うことができた。ということは生活があるとかないとか外の世界と自分との関係性はどうだとかいうことに気を留めるようになったということは、自分が人生のただ中にいることができなくなったということでもある。

新しいフィルムは追加されない。できることは昔の影絵を見返すことだけである。

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