能力主義が蔓延る社会に否定的な考えを持っている筆者。成功者は、自分が上手くいったのは、自分が努力したからだと考えがちだが、実は遺伝子や親の経済力、周囲の環境などに恵まれていたから成功した要素も多分にある。それをあたかも自分の力だけでのし上がったと考えるのは傲慢な考え方であると筆者は各章で繰り返し主張する。どこからどこまでが個人の努力によるものなのかそれを判別することは極めて難しい。環境や遺伝の要因も影響していないこともないだろうから、格差が生じるのは致し方のないことである。
こうした格差が生じるのは当然のこととして、どうすればお互いが不満を感じずに生活していけるのだろうか。生まれや能力に恵まれた人は思う存分その恩恵に預かって人生を有利に進めていき、そうでない人間は色々なことを諦めて生きていくしかないのだろうか。両者が気持ちよく生活できるような棲み分けた社会の実現が社会としては理想的のだろうけど、現実的にいってそれは難しいので、世の中はそういうものと認識して生きていくのが一番良いと思う。
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