怠惰な生活を送る青年の日記

社会の片隅でひっそり生活しています。

都市型狩猟採集生活 坂口恭平

人とコミュニケーションを取るのが苦ではなく、周りと協力して生活していきたいと考えるホームレスにとってはこの本は大変参考になるが、それとは反対に、社会や人から逃れて、なるべく周りとコミュニケーションを取らずに単独で生活したいと考えるホームレスにとっては、この本はあまり参考にならない書籍である。
坂口氏はおそらく前者に該当する人間で、そうであるからこそ、ホームレスといえども、他人とどんどん関わりを持っていくことを推奨している。

すべてゼロから始めようとしているきみは、まだ経済活動に参加する必要はない。やれるところまですべて0円でやってみせるのだ。ここでは自分の必要な分だけを拾うようにしよう。

都市型狩猟採集生活 坂口恭平(p.23)

都市型狩猟採集生活といえば聞こえはいいが、完全に国に依存している生活スタイルである。著者も述べているように、国がしっかりと機能しているからこそ、ここに出てくるような人たちも最低限の衣食住を手に入れてそれなりの生活を送ることができる。ゼロから生活を始めるといっても、資源は国にどっぷりと依存しているわけで、周りからフリーライダーと批判されても仕方のない人たちである。

だけど、食糧の廃棄ロス問題などには一役買っている人たちでもある。その一例が、以下である。

「他人のほしがらないものが、きみの一番ほしいもの」こういう状態になると、じつに効率よく質の高いものを獲得することができる。そして、当たり前のことだが、他人のほしがらない究極のものこそが、「ゴミ」なのだ。

都市型狩猟採集生活 坂口恭平(p.23-24)

こうしたことからも、一概に彼らの生活が否定されるべきものではないと思う。まだ使えるものを簡単に処分されくらいなら、ホームレスがそれをうまく活用してくれた方が、環境問題の解決の観点から言えば、良い方向に働く。

ホームレスと聞くと、怠け者で社会のあらゆる資源を食い物にしている人種だと思われがちだが、そこらへんにあるものを使って四苦八苦しながら何とか生活を送っている、生命力の強い人たちでもある。そういったところは自分もとても尊敬できる。

当ブログの文章や画像を無断で転載することは厳禁です。もしそうした行為を働く者がいた場合、然るべき法的措置を取らせていただきます。