ミレーのバックパックを使い始めて5年近く経つけど、いまだに使い古されている感じがなく、更物同然のように思われる。バックの担ぎ方が悪かったからか、上半身全体がぎすぎすと激しく痛む。昨晩の大浴場での入浴効果はあまりなかったようだ。
今日は湯河原と小田原の中間あたりまで行ければ良いかなと考えている。現時点では、湯河原では温泉にでも入ってのんびりとして過ごし、そこから少し東に進んで適当な所で身体を休めようというプランしかもっていない。
熱海の海は綺麗というけど、悪天候なため、海気分は全く味わえず。
それにしても国道135号線がは緩やかな坂道がとても多い。坂を超えたと思えば、また坂が現れ、坂、坂、坂の連続である。ここまで坂と格闘するとなると、今後の旅への影響はどうなっていくのかとても心配である。今はまだ年齢的に若いので体力的な面では何ら心配していないが、高齢になった時にこんな坂を上りきることは果たしてできるのかと考えたりする。
道中は永遠に海、上り坂、海、上り坂の繰り返し。あまりに単調な景色の連続により、心が全然浮かない。それでも少し坂を坂を上がった所から見る海は絶景そのものだ。平坦地から見るよりも遥かに綺麗に見える。
お寺か何かだろうか。
傾斜の激しい坂道を上がって正門まで行ったところ、生憎の休館日であるという・・・。また余計な体力を使ってしまった。
この辺まで来ると、東京や神奈川のナンバーがゴロゴロと目につく。二拠点生活をしている人や土日の休みに静岡に遊びにくるといったところか。
少し平坦地を歩いたところですぐさま上り坂のお出ましという何とも旅行者を殺しにかかるルート。
気づけば真鶴駅に到着していた。こういう小さくて、人っ気のない駅が大好きである。こうしたところは情報社会の飲み込まれとは無縁で、素朴な空気がそのまま現存しているからだ。そうした華やかさや資本主義の加速による大量消費生活とは無縁なところには、身を置きたくなる。
宿探しも兼ねて味しそうな魚屋さんを発見。さばバーグってはじめて聞く名前だな。(お店の人の撮影許可はしっかりと頂いています)
さばバーグ220円。ちぎり揚げ80円。昔ながらの総菜屋さんのおかずといった感じでとても美味しく頂いた。
傾斜の激しい坂道を上がった先に、ひっそりと佇むみすぼらしい建物が。まるで一時的な簡易所と思しき宿だが、いつごろ建造されたのだろうか。こういう綺麗さやサービスの快適さが一切備わって無くて、複数人泊まることができるのに、宿泊客はほとんど数人(もしくは一人)みたいな宿がたまらなく好きだ。それは肩肘張らずに、のびのびと生活することができるからだろう。
自分が宿に到着すると同時に偶然、旅行者も宿に到着したので、二人同時に宿の門を開くことに。一緒に宿に入ったためか親子と間違えられるも全力で否定する。その旅行者は60代くらいのおじさんで、結構旅慣れしているような様相が全面にあふれ出ていた。仕事をしに、ここへやって来たと言っていたが、テレワークが可能な職種であるためリフレッシュも兼ねてここへやって来たのだろうか。
フロントの女性は外国籍と思しき方で、カタコトの日本語を使って、拙いながらも丁寧に接客をしてくれた。
受付係「本日はどうなさいますか」
自分「予約をしていないのですが、今日は部屋に空きはありますか」
受付係「はい、空きはございます。本日は宿泊の予定ですか。」
自分「いや、予算に都合が合えば、ここで泊まることを考えています。なにも調べずに来たので、宿泊費がいくらするかも分かりません。一泊いくらするのか教えていただけますか。」
受付係「一泊7000円です」
自分「んー。他のところを色々と見て泊まるかどうか考えます。」
そう切り出して何とか外に出たが、よくよく考えて、素泊まりで一泊7000円はどう考えても高い。宿泊料など一泊1000円~2000円でいいと思うのだが、そんな価格で提供できる宿はこの辺りには一つもない。近くにゲストハウスもあるということなので、そちらにも足を運んでみると、インターネット予約のみ受け付け可能で、価格は40000円もするという。一日当たりの来客数がとても少なく、少人数だけを受け入れているゲストハウスだからこそこんな価格設定なのだろう。
結局宿を決めないまま、岬の方まで下りてきた。
日が暮れはじめ、視界が暗くなる。周りが見えにくくなったことと、今日泊まる場所が決まらないことが重なって、気分がどんどんと重くなる。それはまるで今の空模様と符合するように。旅で面倒なのは、他でもなく宿探しである。野宿でその辺に寝っ転がるのもいいけど、基本的に法律によって野宿をすることは許されていないから、警察官や警備員のお咎めをくらって撤退するよう命じられる。反対に、費用を最小限に抑えるために、ゲストハウスや民宿に泊まろうと考えてもすんなりと宿泊できるとは限らない。宿泊料が思いのほか高かったりする場合もあれば、満席のため宿泊できないケースもあるからだ。野宿も難しく、宿泊もできそうにない。そうなれば、安宿を見つけるためにひたすら歩き回るしかないのだが、そんな宿にこれから先たどり着ける保証もない。そうすると、妥協してどこかに泊まらざるを得なくなる。
岬の端まで行っていくつか民宿やペンションを見て廻ったところ、6000円から7000円程するらしい。どこの相場もこんな感じであるそうだ。ここで一泊する予定であったが、ここで夜を明かすよりも新宿まで行く方が費用が安いと考え、当初の予定を急遽変更して、小田急小田原線を経由して新宿まで向かったのだった。
徒歩旅行 2日目 熱海~真鶴 10:30~15:00 所要時間4時間30分